一冊の本のカバーデザインを担当させてもらえるというのは貴重な体験です。
しかも今回は「放浪記」。

貧乏であること、HAPPYであること、引越す・放浪するということ、
いただいた原稿を読み返しながら、これらの言葉と著者である伊東幸夫さん、それから出版元である（株）三恵書房さんについても、想いと考えを巡らせました。

貧しさを持っていても、伊東さんには必ずどこかに明るさや探究心があり、そこから自身の「HAPPY」を引き寄せている。温度感ある放浪の一端を表現した表紙になったかと思います。

表紙のオレンジの色合いは最後まで微調整が続きましたが、味わい深い仕上がりになりました。
チャーミングなタイポグラフィともマッチしていると思います。

表１のコピー「逃げるように、導かれるように　住み処を変えつづける古物商の話」
表４のコピー「まちの光景、ひとの表情が情緒たっぷりに浮かぶ、流浪の記録。」
を残していただいたことも、ありがたい限りです。
（制作を進めるうえで林芙美子 著『放浪記』初版本のデザインに出会えたこともよかったです）

都会の磯の匂いがフッと香ってくるような、朝帰りの眩しさを思い出すような、そんな一冊です。
  
（書籍情報）
『貧乏でもHAPPYな引越放浪記』
2022年12月16日 初版第１刷発行
著者：伊東幸夫
発行人：長谷川 浩平
発行所：株式会社三恵書房

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